優良児童回想録

おにぎりはツナマヨ

お兄ちゃんの入籍

 

 

録画してたR1観ようと思ってこたつに座った。横向いたら壁掛けのカレンダー、今日の日付のところに「だんくん入籍」って書いていた。お母さんの字。お母さんは家族の予定を昔からリビングのカレンダーに書き込む。あ、そうなんだ。今日なんだ。いま0:08分。さっきから今日は今日になった。

私のお兄ちゃんは3人いて、その中でもだんくんは1番仲良くしてくれた。面白くて頭が良くて、行動力があって、家族の中でも頼りにされてた。わたしの人生の革命、「高校時代ドライブ編」は、だんくんがいなかったら無かった。確実に。

だんくんを初めて家族ながらに変な人だなと思ったのは『よりのり探検隊』を教えこまれたときだった。小さい時からより。とかのり。とかブツブツ言ってただんくんは、私にもそれを強要してきた。「お前は家族の中でも、よりのりを受け継げるたった1人の人材や。」と言って、ある日よりのり探検隊の発祥について話してくれた。未だによく分かってないが。他にもだんくんの伝説は数えきれないほどある。(すべてだんくんから聞いた本当か分からない話)

だんくんは何を考えてるのか全くわからない。小さい頃からラジオをずっと聞いてたからか、お笑いとか言葉とかに詳しい。ただ一緒にいたらちょーワクワクするのと、友達が多すぎるのと、行動力が凄まじいことはみんな知っている。小学校から中学校にあがるときに引っ越して、入学式で「だんはどこにおるんや!?!?」って騒ぎになったり、月2で結婚式に行ってお祝儀貧乏になったり、だんくんを見てると人生を楽しんでるなあ……と遠い存在のように思う。でもだんくんは、いつも、「おい!いくぞ!」といって目的地も告げずに私たち妹と弟を連れ出してくれてた。みんなだんくんが好きだ。私を創ってくれた音楽たちも、ぜんぶだんくんが教えてくれたものである。The Girl on a boardは、わたしたちの約束の曲。全てにおいて一曲目の曲。

だんくんが大人になって家を出たときから、わたしは確実に何かが欠けて、そこだけずっと埋まってない。好きな人も、大事な友達もいて、その各々の枠は全部きっとちゃんと満たされてると思う。でも、だんくんが家を出て日課のドライブが無くなって、その頃から、だんくんの枠だけじゃない色んなところに冷えた空気がすこしだけ浸透して、何年も変わっていない。すこしだから支障はないけど、絶対にわたしは埋まってた頃には戻れない気がする。この埋まってない部分は、いつか大丈夫になるのでしょうか。よりのり探検隊、わたしのこころも探してください。そしてだんくんは、誰よりも幸せになってください。